あとどのくらいロシア正教会はウクライナに残ることができるのか?

Share this...
Facebook
Twitter

ロシアはプロパガンダの強力なツールとして宗教を使用しています。ロシア正教会は侵略国の完全な保護下にあります。それは愛国心を持った民間人と軍隊の教育のための機関になりました。このように、ロシア連邦は「偉大な国」と「聖なる戦い」の考えをロシア人の心にさらに深く植え付けています。

3月29日、ヴェルホーヴナ・ラーダ(ウクライナ最高議会)は、ウクライナでのロシア正教会を禁止する法案が提出されました。承認された場合、すべての教会の財産は国有化されます。モスクワ総主教庁系の組織は、当該法の発効日から14日以内に従属を変更する機会が残されています。

ロシアの教会と軍隊

ロシアの世俗主義とは「ロシアの世界」という神話です。教会とロシア連邦の軍隊との協力関係は、20世紀、1990年代に始まりました。そしてそれは公式的なものです。(例1例2例3

世俗主義
世俗性、非宗教性。世俗社会の主な特徴は以下の通りです: 宗教団体の支配からの公的生活のさまざまな領域の解放、政教分離。

この間、ロシア軍の宗教性は愛国心に近いものとなりました。ロシアの聖職者は公に「国家の神聖な国境」を守るために兵力を要求しました。このレトリックは、彼らの専門性の下で研ぎ澄まされた親クレムリン的で昔ながらのものです。「ウクライナとロシアの人々の精神的な親和性」「共通の歴史」「歴史的正当性確立のためのロシアとのウクライナの領土統一の必要性」など、これらはロシア正教会の聖職者により表明された言説です。

ロシア正教会は国からの完全な保護下で運営されています。軍の敷地に教会を建設し、軍のために定期的に集団崇拝を行うことは、ロシア正教会が体系的に行っていることです。そして、そのような行動がロシア連邦の「良心と宗教団体の自由について」および「軍人の地位について」という法律に直接違反しているという事実に誰もが目をつぶっています。

ロシア正教会の聖職者は、武器(核兵器を含む)や軍事施設を奉献するだけでなく、軍隊の人員配置と採用にも影響を与えています。正教会文化学部が、軍事教練を行う複数の大学に開設されました。そして1994年以来、ロシア正教会は従軍聖職者の創設を求めてきました。

このように、ロシア正教会は、強い愛国心を持つ社会の教育のためにロシアにより合法化された機関であり、「兄弟民族」と世界中におけるロシア人の再統合の必要性に関するメッセージを体系的に発信しています。ロシア正教会による宗教的独占は他の宗派を抑圧し、それらに対する不寛容を植え付けます。

モスクワ総主教

キリル総主教は、ロシア正教会の首座主教であり、モスクワ総主教、そしてロシア全土の総主教です。ロシアでは、彼が「すべてのルーシ」(「ロシア」ではない)の総主教と呼ばれていることがポイントです。

ロシア正教会のトップは、この全面戦争でロシアに非があると認めていません。それを「ウクライナでの劇的な出来事」と呼び、世界教会協議会(WCC)の事務局長代理を務めるイオアン・サウカへの手紙の中で、彼はNATO諸国を非難しました。キリル総主教によると、ウクライナに武器と戦争指導者を溢れさせウクライナを利用したというのです。キリル総主教は、ウクライナ人がロシアの敵として再教育されたとしています。キリル総主教は、彼の演説で、バンデラ主義者とナチスに苦しむルハンシク人民共和国とドネツィク人民共和国の人々に関する親クレムリン的な言説を支持しています。

ウクライナ正教会モスクワ総主教庁系のいくつかの教区が彼らの祈りの中でキリル総主教に言及することを拒否した後、キリル総主教は彼らの決定は弱さの兆候だが、それについては気にしていないと述べています

ちなみに、ロシア正教会のウェブサイトには、キリル総主教が参加したビデオシリーズを含む「教会と軍隊」というセクションがあります。少し目を通しただけでも、ロシア連邦の教会と軍事機構は密接に関係しており、同様のショーヴィニズム的な論文を広め、自国の法の支配を平準化していると結論付けることができます。

ロシア軍の教会

ロシア軍の重要な教会は、宗教建築物に関する通常の考えを打ち破る建築物です。これは、ロシア軍の文化レクリエーション軍事愛国公園の土地に位置する博物館と教会の複合体です。大祖国戦争での勝利75周年を記念して1年半かけて建てられました。建物の外観は、ロシアの帝国と占領の象徴です。教会のすべての建築的特徴、その外観と内部の装飾は、大祖国戦争の事実に基づいています。いくつかの詳細には、文字通りその戦争の戦利品があります。たとえば、床や階段は、ドイツ軍の戦車を再溶解した鋳鉄で敷かれています。

教会建設を主導したのは2012年からロシア連邦国防大臣を務めているセルゲイ・ショイグです。宗教軍事プロジェクトは、ロシア政府予算とロシア人からの慈善寄付をもとに実施されました。

天使、聖人とともに、戦車、飛行機、銃、兵士など、これらはすべて、教会のモザイク画に描かれています。ステンドグラスには、ロシア連邦における国および軍の最高の賞が表されています。旧ソ連時代のシンボルも存在しており、ロシアが未だに旧ソ連時代を懐かしんでいることが伺えます。ティムール・イヴァノフ国防副大臣によると、ヒトラーの衣装も博物館の複合施設内に保存されているようです。

プーチン、スターリン、ショイグを描いたモザイク画と、クリミアの占領についての物語でロシア軍の教会を装飾する予定だったようです。

この教会はキリル総主教によって奉献されました。

ウクライナのロシア教会関係機関

何年もの間、ロシア教会はウクライナに教会関係機関の独自のネットワークを構築してきました。ウクライナのロシア正教会の一部は、モスクワ総主教庁系のウクライナ正教会(UOC-MP)またはウクライナのロシア正教会と呼ばれています。 UOC-MPの名前は、ウクライナ正教会・キーウ総主教庁(UOC-KP)を含む他の教会と区別するため、メディアで最も頻繁に使用されていますが、その指導者たちは「ウクライナ正教会(UOC)」の名前を主張しています。

2019年、ウクライナの最高裁判所はUOC-MPがこの名前を保持することを許可しました

長い間、その教区の数はUOC-KPや他の教会を大幅に上回っていたため、UOC-MPは依然として大きな影響力を持っています。しかし、これら二つの教会は根本的な部分で精神的に異なっています。UOC-MPがロシア人とウクライナ人の「共通の洗礼」を一人の民族として説き、彼らの最終的な統一の必要性について説くならば、UOC-KPはウクライナの主権を念頭に置いています。簡単に言えば、ROCは、UOC-MPに影響を与えつつ、反ヨーロッパ的な発展のベクトルを備えた政治的機関として機能しています。そのため、ロシア教会はウクライナ教会の独立に反対しています。雄弁な事実として、2018年、ウクライナ正教会がヴァルソロメオス1世からトモスを受け取った後、ロシア正教会はコンスタンティノープル総主教庁とのフル・コミュニオンを断ち切りました。これは、この状況で予想される最も過激な反応でした。

トモス
聖シノドや地域の正教会のトップによる教会制度や教義に関する文書のこと。トモスの付与は、多くの場合、地域の教会の新たな独立の承認、つまり他の正教会からの独立を意味しますが、それらとは規範的に一致しています。

ロシア正教会は、UOC-MPに影響を与えることにより、「ソフトな影響」の潜在的な力を利用しています。信者は通常、聖職者に対して揺るぎない信頼を持っているので、抵抗するのは最も困難です。なぜなら聖職者は、信者からすれば、最高の人間の特徴を兼ね備えています。

UOC-MPの聖職者は、明らかに、ロシア連邦とその教会の軍事的特徴を例示しています。ドンバスにおける武力衝突の初めから、ロシア正教会はその「平和維持任務」を宣言しましたが、実際、その代表の多くはイデオロギー的に(奉仕中の説教の中で)また資源の関連からも支持をしました。ウクライナでは、UOC-MPの聖職者たちも、神聖な功績からはほど遠い長い「実績」を持っています。

たとえば、オレクサンドル・カネウシキーは、新聞「バトキウシキー・コミテート」を発行し、教育的な内容で反ウクライナのプロパガンダの考えを宣伝しました。分離主義に加えて、彼はみだらな行為もしていました。明らかに武器への神聖なロシアの愛情はUOC-MPの聖職者にも受け継がれていました。ウクライナ当局は、武器製造無許可で武器取引により彼らの一部を拘束しました。

親クレムリンの教会関係機関は、ロシアの全面侵略の間も活動しています。工作員である聖職者オヌフリーと上級聖職者ミハイロはすでに拘留されました。そして、キーウ・ペチェールシク大修道院の聖職者は、ジャーナリストからこの戦争の責任が誰にあるか尋ねられたとき、沈黙を守り、このトピックに関する発言を明らかに避けています。

「神聖なものはなく、ロシアだけです」おそらく、これがロシア正教会の原則です。ロシア軍によるウクライナ正教会の牧師であるマキシム・コザチーナへの銃撃を他にどのように説明できるのでしょうか?反戦の立場を公に表明し、ウクライナとの戦争を開始したのはロシア連邦であるという事実を認めたロシアの聖職者イオアン・ブルディンに対するコストロマ州(ロシア連邦の領土)での拘留はどうなのでしょうか?そして、この間に、ロシア軍はウクライナ正教会の教会を破壊しているのです。

1862年に建てられたジトーミル州(ポリッシャ地方)のヴヤジウカ村にある聖マリア・キリスト降誕教会がロシアの侵略者によって皮肉なことに破壊されました。

これに対するウクライナの教会コミュニティの反応は、ロシア正教会とのすべての関係をなくす、という一点です。UOC-MPのキーウの聖職者はすでにモスクワ総主教庁系から抜けるためにUOC評議会を召集するようにオヌフリー府主教に訴えました。現時点では、ウクライナ全土の数十のコミュニティと修道院が、モスクワ総主教庁系から正教会に独立して転換しています。現在、ウクライナ人の63%がロシア正教会との関係を断ち切るという考えを支持しています。

ロシア正教会の影響はウクライナに限定されません。モスクワ教区は、ルーマニア、セルビア、ギリシャ、ブルガリア、アゼルバイジャン、キルギスタンなど、他の多くの国に存在しています。しかし、10年前、ロシア正教会の影響に抵抗する傾向が、上記の国のうちのいくつかでありました(特に正教会とカトリック教会の和解を通じて)。

コンテンツ作成スタッフ

プロジェクト企画:

ボフダン・ロフヴィネンコ

企画:

アンナ・ヤーブルチナ

編集長:

イェウヘーニヤ・サポジニコヴァ

編集:

クセニア・チクノバ

写真編集:

ユーリー・ステファニャク

コンテンツマネージャー:

カテリーナ・ミンキナ

翻訳:

藤田 勝利