どのようにウクライナ赤十字社が戦争中に支援しているか

Share this...
Facebook
Twitter

テチアナは、約3年間、ウクライナ赤十字社のボランティアを務めています。ロシアがウクライナに全面侵攻してから、民間人に対する支援に関する彼女の個人的なストーリーを公開し、ウクライナ赤十字と赤十字国際委員会の2つの組織の違いを説明します。

2022年3月の赤十字国際委員会を取り巻くスキャンダル(ICRCのペーター・マウラー総裁がロシアのセルゲイ・ラブロフ外相とモスクワで会い、ロストフ・ナ・ドヌーに組織の事務所を開設することについて話し合った)の後、非難と不信の波がウクライナ赤十字社のボランティアに寄せられました。告発の理由は、事務所の開設がロシアが所謂「人道回廊」を合法化することを手助けし、そして侵略国の領土へのウクライナ人の強制送還を容易にすることを恐れているからです。これらの告発がウクライナ赤十字社とは何の関係もない理由を説明します。

ウクライナ赤十字社のボランティア、ターニャ・ロマニュク

私は、約3年間、ウクライナ赤十字社緊急対応部隊のメンバーです。人生の危機がやってきたとき、すべてがバラバラになっているように見えたときにここに来ました。ユーロ・マイダン革命のときから赤十字の人々のことを覚えていて、それから抗議やフェスティバルで彼らを見かけました。赤十字は今では私にとって2番目の家族です。私は医者ではありません。応急手当、つまり救急車が到着する前に人の生活をサポートをすることが私はできます。応急手当に興味があり、赤十字に来る前にすでにコースを受講していました。人間の生命が最も価値があると信じており、そばにいる人が突然具合が悪くなった場合の対処法を知りたかったのです。

全面侵略後の最初の1か月間、私はキーウの駅にある赤十字のテントで勤務し、一時占領地域から連れてこられた人々に対して心理的および応急処置を提供しました。家々に砲撃があった後に行きました。テントを張って、一人で歩けない人たちの移動を手伝いました。彼らを暖めて、傷を治療し、負傷者を心理的にサポートしました。

一時的に占領されていたキーウ州の町(ディメルカ、イルピン)からキーウへの避難グループに同行しました。多くの場合、これらの避難は砲火にさらされているため、この地域は心理的に最も厳しい状態です。人生を脅かす状況があるとき、私には平穏、集中力、そして明確な行動計画しか残らなくなります。何が起こったのかが気付くのは、静かな場所に着いてからです。しかし、危険にもかかわらず、そのような考えを捨てることを考えたことはありませんでした。抱擁、私たちが助けた人々からの感謝の言葉、そのような瞬間は私にとって最高のエネルギーとなります。私にとって赤十字が自分自身の場所なのです。

今一番印象に残っているのは、避難中に出会った子供たちです。 5〜8歳の子たちで大人ではありません。ひどく破壊された町、通りの真ん中に横たわっている人々の死体、そして不発弾が地面から突き出て人々がそれを避けている状況が印象に残っています。イルピンから避難し、猫だけを連れて行った男性もいました。これ以上、文書も、物もなにもありません。彼は駅のテントでお茶を飲み、手が震えていました。その後、「どうすればいいのか、次に何をすればいいのか」と泣き始めました。そのような話に私は胸を締め付けられます。

私は赤十字のボランティアであることを常に誇りに思っています。しかし、この2週間で、ロストフでの出来事のために、私と私の同僚に多くの憎しみが降りかかりました。ある日、スキャンダル後の最初の数日間、私が赤十字の服を着ていたため、キーウのタクシー運転手が私を連れて行くことを拒否しました。負傷した男性をイルピンからキーウの病院の1つに連れて行ったときには、廊下に立って彼が運ばれるのを待っている間、私の上司は医者に「どうですか?負傷者はここに運ばれてきてますか?彼らはどのような状態ですか?」と尋ねましたが、医者は「たぶん、運ばれていますが、私は赤十字には話しません」と言われました。これらはすべて、人々が赤十字の体制についてあまり精通していないためです。ウクライナ赤十字社と赤十字国際委員会は完全に異なる2つの組織であり、一つの運動への参加によってのみ団結しています。ウクライナの赤十字は完全に独立していて独り立ちしており、ウクライナ人がボランティアとして参加しています。全面戦争の初日からウクライナ赤十字社の緊急対応部隊のボランティアが関与しているため、そのような敵対的な姿勢はボランティアたちの意欲を激しく低下させ、動揺させています。私たちは活動に対してお金を受け取っておらず、家を訪れることもほとんどなく、親族にも会っていません。すべては、国家緊急サービスの呼び出しですぐに現場に行き、すぐに支援を提供し始めるためです。砲撃のさなかでも、毎回命を危険にさらしながら、何千人もの人々の避難を支援するためです。人道支援物資を一時的に占領された都市に届けるためです。移動があまりできない人々をより安全な場所に輸送するためです。人々に応急処置について教えるためです。私たちが24時間体制で勤務している駅で、いつでも人々が来て支援とサポートを得ることができるようにするためです。私たちは痛みをともなう何千もの話を聞いたり目撃したりしており、それぞれの話を経験してきています。

赤十字の原則として、赤十字は中立の立場にあります。私たちは誰の側にも立つことはできません。双方の民間人の安全は私たちにとって重要です。このおかげで、民間人を助けるためにロシア軍は私たちを占領地に通しています。個人情報を漏洩したり、動画を撮影したりすることはありません。なぜなら、次からは入れさせてもらえなくなり、人々を助けることができなくなるからです。

私がロシアの検問所を通過するとき、私は自分の内側で荒れ狂っているものにもかかわらず、可能な限り抑制しなければなりません。何か変なことがあった場合、さまざまなことが起こり得ます。彼らは私や一緒に乗っている人たちを撃ったり、捕虜にしたり、民間人の避難が出来なくなる可能性があります。私は通常、石のような表情で立ち、控えめに質問に答えます。

私の唯一の目的は民間人を運び出すことであり、それが私たちが集中する必要のあることです。彼らが私に肉体的に何もしない限り、私は誰も挑発しないように冷静に行動しなければなりません。避難中の赤十字車というのは、避難が正式行われていることを保証し、この避難グループの車列は双方の最高レベルで調整されています。もちろん、軍隊が連絡を取り合っていないこともあり、兵士に情報が行き届いていなかったために殺される可能性があったという非常に危険な状況に何度か遭遇しました。生き残ったのは奇跡でした。

自分の命を失う可能性があることは理解しています。しかし、私には子供も家族もいません。家族や子供がいる人、もしくは放っておかれている人に何かが起こるよりは、私に何かが起こったとしてもそれほど苦痛ではないと感じています。私は死ぬことを恐れていませんが、私のチーム、私の親族のことをより心配しています。私は自分自身については全く考えていません。自分がしていることが非常に重要であることを知っているので、私は頑張っています。そして、私にとって人々を助けることは生きがいとなっています。なぜなら、人々を助けることは、私が16歳の時からずっと熱心に取り組んできたものだからです。私たちは今、何千人もの命を救っています。それはつまり、ママとパパ、祖父母、娘と息子などといった何千人もの人々の世界を救っているということなのです。週に一度、私は自分のなかで溜めこむことがないように、必ず心療内科と話をします。

ウクライナ全土では赤十字社の迅速対応チームで約500人のボランティアたちが働いています。キーウでは約50人の人たちが働いています。私たち一人一人はウクライナとここで起こっていることすべてに心を痛めています。私たちは出来ることすべてに取り組んでおり、私たちはみんな同じ前線にいます。ですので、団結し、お互いをサポートし、共に勝利を目指しましょう。

ウクライナ赤十字社からのコメント

ウクライナ赤十字社と赤十字国際委員会(ICRC)は異なる組織です。ウクライナ赤十字社は、専ら国家的使命を抱いています。つまり、ウクライナの領土でのみ機能しています。

ICRCには国際的な任務があり、人道問題を解決するために武力紛争のすべての当事者間で中立的かつ公平な調停者として機能します。

ウクライナ赤十字社は、ICRCのロシア連邦への公式訪問とは何の関係もありません。我々は、ロストフ・ナ・ドヌーでの事務所や人道支援センター開設とは何の関係もありません。

ウクライナ赤十字社は、人々の命を守り、武力紛争や自然災害の際の被害を緩和し、人道活動において公的機関を支援しています。我々は人道援助の提供を支援し、住民を避難させる地方自治体の活動を支援していますが、我々自身で人道回廊を開設することはできません。

コンテンツ作成スタッフ

プロジェクト企画:

ボフダン・ロフヴィネンコ

企画:

フリスティナ・クラコウシカ

編集長:

イェウヘーニヤ・サポジニコヴァ

編集:

アナスタシヤ・フリコ

写真編集:

ユーリー・ステファニャク

トランスクライバー:

マリアナ・ホナチュク

コンテンツマネージャー:

ヤナ・ルシナ

翻訳:

藤田 勝利