なぜすべてのロシア人がウクライナでの戦争に責任を負うべきなのか

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国際社会は、ウクライナでロシアが行った戦争と、ウクライナの土地で占領者が犯した人道に対する罪を強く非難しています。ロシア連邦によるそのような行動への反応は経済制裁であり、世界中のロシア人に対する態度は著しく悪化しました。

このため、侵略国の多くの市民は、反露感情を警戒し、プーチンがロシアのすべてではない、とし、なぜ誰しもが一人の狂気のために罰せられるべきなのかと言っています。同様の考えは、世界の政治指導者、ジャーナリスト、文化的人物によって述べられています。しかし、ウクライナへの攻撃は、ロシア人が20年以上にわたって支援し、資金を提供してきたイデオロギーと政策の表れです。したがって、ロシア連邦のすべての市民は、自国の政府のそのような政策に責任を負わなければなりません。

軍事兵器の歯車

ウクライナへの侵略がプーチンの戦争であると信じている人々は、全面侵略が、兵士・軍産複合体労働者・兵站・プロパガンダ扇動者・納税者などの多数の人々による多大な準備と関与を必要とする重大なプロジェクトであるという事実を無視しています。これらの人々はすべて、2014年(ウクライナ東部でのロシア・ウクライナ戦争とロシアのクリミア占領が始まったとき)以来、プーチンの計画を実行またはそれに対して資金提供しているので、ウクライナでの戦争も彼らの戦争です。

ウクライナの民間人に対する拷問、レイプ、見境のない砲撃、その他の残虐行為は、すでにこの全面戦争の顔となっています。ウクライナの領土での人道に対する罪は、プーチンが個人的に犯したのではなく、約20万人のロシア兵が犯したものです。プーチンではなく、ロシア兵が市街地を砲撃し、航空機を操縦し、子供たちが隠れている家・学校・病院・劇場に爆弾を投下しています。犯罪的な命令を受けた後でも、すべての兵士がそれを実行することもできれば実行しないこともできます。第二次世界大戦後に策定されたニュルンベルク諸原則によれば、それが戦争犯罪につながるのならば、その指導者の命令に従っただけというだけでは、容認できる言い訳にはなりません。

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女性をレイプしたり、戦車から一般市民の車を撃ったり、市長や子供を誘拐したり、親を脅迫したり、略奪したり、親戚に略奪したものを送ったりしているのはプーチンではありません。また、占領地やロシアへのウクライナ人の強制送還を組織しているのもプーチンではありません。

全世界が4月上旬に見たブチャの罪のない人々に対する恐ろしい拷問と虐待も、プーチン自身ではなく、ロシア兵によって行われたものです。ブチャは解放された都市の1つに過ぎず、通信手段や独立したジャーナリストがいないロシア占領下の町や村で、どれだけ多くのウクライナ人が拷問を受けているのかは不明です。この残酷さの背後にあるものとは、個人のイニシアチブと自分をアピールする機会、または盲目的に命令に従う能力のどれかでしょうが、いずれにしても重要ではありません。最終的な決定は、結局、殺害と拷問を選択した兵士自身によるものだからです。

軍のそのような行動は、教育と社会的影響の直接の結果であり、誤った価値観を示しているのはロシア人の1つの世代だけではありません。これは、占領者とその家族の間における多くの電話での会話によって確認されています。これらの会話は、ウクライナ保安庁によって傍受されインターネットに投稿されています。録音では、ロシア兵の親と妻は自身の残虐行為について話すロシア兵を非難せず、略奪、そしてレイプさえも奨励しています。

ウクライナの領土での戦闘行為に直接関与している軍隊に加えて、国の軍産複合体に仕えている人々がいます。そして、そこではウクライナ人を毎日殺す何十万もの平気が製造されています。その中には白リン爆弾や燃料気化爆弾もあり、国際社会での使用は禁止または特定の条件下でのみ許可されています。白リン弾は、ロシアも署名したジュネーブ条約の追加議定書によって禁止されています。しかし、2022年3月24日、侵略国はスロビダ地方のルビージュネでウクライナ人に対してそれらを使用しました。ロシアによって署名および批准されている特定通常兵器使用禁止制限条約によると、燃料気化兵器は、民間人を危険にさらさない場合にのみ使用できます。戦争が始まってから最初の2週間の間に、ロシアは燃料気化爆弾を投下したことで、ロシアはこの条約についても違反しました。

2020年の時点では、250万人以上のロシア人がロシアの軍産複合体で働いていました。これは単なる生産であり、軍隊にサービスを提供するために必要なロジスティクス複合体全体についてではありません。過去30年間だけでも、ロシアは独立国の領土で一連の侵略戦争を行ってきたため、これらの軍事兵器と弾薬は防衛または輸出のためだけに作られたという言い分は批判に耐えられません。同様に、ロシアによるウクライナとの戦争の8年間、ロシアの軍産複合体労働者は侵略者の軍事兵器を強化し、その兵器がどこで使用されているかを知って、「ドンバスにはロシア軍はいない」というクレムリンの嘘を黙って支持しています。

同じ年に、ロシアの軍事部門の予算は600億ドルを超えました。この予算の60%はロシア国民の税金で構成されているため、ウクライナでの戦争を継続することを主に可能にしているのはロシア国民自身ということになります。

「非難することを恐れて」おらず、
支持している

「善良なロシア人」の探求者は、ロシア市民は国の政府に実際の影響力を持っていないと主張することができます。2022年3月4日に可決されたいわゆるフェイクに関する法律(実際には、当局の公式の立場と一致しないすべての情報)により戦争に反対して発言することを単に恐れています。しかし、ロシア政府が積極的な外交政策を推進し、他者に対し力によって自らの利益を押し付けるのは初めてのことではなく、国民はロシア政府の行動を支持しています。

2022年3月にロシアで行われた独立した一連の社会調査によると、ロシア人口の70〜83パーセントがウクライナへの侵略を支持しています。つまり、ロシア人が戦争に抗議していないのは、彼らが政権の囚人であるからではありません。CNNの調査によると、ウクライナがNATOに加盟するのを防ぐために、ロシア人の50%がウクライナに対する軍事力の行使を支持しています。ロシア人がどんな世論調査でも正直に話すことを恐れていると仮定しても、彼らの行動は何らかの形で自国の政府の積極的な帝国主義的政策を支持しています。明確な例は、クリミア半島の占領に対するロシア人の偽りのない喜びです。一連の世論調査によると、86〜95%がロシア政府によるそのような行動を支持しましたが、反対については誰も述べていませんでした。そして、2014年以来、約4,800万人のロシア国民がクリミアに休暇を過ごしに行っているという事実は、国の人口の3分の1以上が主権国家の占領に問題を感じていないということを示しています。

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自身の政治的中立の立場について述べたり、ソーシャルメディアで「戦争に反対」というスローガンを投稿したりしている少数のロシア人でさえ、必ずしもロシア軍の犯罪性を認めているわけではありません。両国が責任を負うべきだと信じている人もいれば、この戦争をできるだけ早く終わらせるためにウクライナは降伏し、自国の外交政策を選択する権利を放棄しなければならないと信じている人もいます。

アメリカの人権活動家であり、Human Rights Watchの共同創設者であるAryeh Neierによれば、プーチンはロシアで常にそれほど権力を持っているわけではありません。彼によると、ロシア人は専制政治を認識してそれを止めるのに22年という年月が存在しましたが、彼らはそれをしませんでした。プーチンは比較的民主的な国家を獲得し、その国民は実際に政府に影響を与えるためのツールを持っていました。自身の最初の大統領任期の前でさえ、プーチンはロシア政府のトップであり、血なまぐさい第二次チェチェン戦争を含む多くの「軍事作戦」の計画と実施に直接関与していました。プーチンの残虐行為はロシア人を怖がらせませんでした。それどころか、アメリカの歴史家は、プーチンに力があることをロシア人はみたと説明しています。ロシア人の大多数は、そのような指導者に国家元首となってほしかったのです。

プーチンは在任中、近隣諸国での多くの紛争とジョージアとの戦争を始め、経済的および政治的圧力はクレムリンの外交政策の基本的な手段であり続けています。彼らは、メディアとロシア国民の共同体における権利の保護を通じて、文化的または宗教的領域で ソフトパワー政策を利用し、他の国家に影響を与える純粋なプロパガンダを使用することを躊躇していません。有名なロシアのジャーナリストで元下院議員のアレクサンドル・ネフゾロフは「ほぼ一世紀半の間、国家はさまざまな帝国主義的考え、偉大さと暴力に対する絶え間ない躁病に取りつかれていました」と述べています。

権威主義体制の受動的創造者

ロシア人は、人権が考慮されておらず、すべてのメディアが当局によって管理されている権威主義体制に暮らしていることをしばしば後悔しています。しかし、22年間、ロシア人は政権が彼らの同胞の血の上に構築されるのを眺め、テロに抵抗することができなかったか、または抵抗することを望まなかったのです。

自身による統治の間、プーチンは自身の手中に集中的に権力を統合し、政府の支部を自分の意志に対して盲目的なツールに変貌させました。2002年、ロシア下院は「過激派活動に対抗する」法案を可決しました。これは、プーチン政権の反対派を抑圧するための一種の法的根拠となりました。その後、彼らは、左翼組織、人権擁護家、ジャーナリストへの襲撃を組織した政府の「愛国心が強い」青年組織を創設し、忠誠を誓い、国内で最も積極的なグループを無力化しました。そのような恐怖の結果、抵抗はおさまり、すべての抵抗者は投獄されるか、公然と排除されました。ロシア人の大多数はこれらの犯罪に目をつぶっていました。そしてその20年後、国民は言論の自由と自国の将来を決定する権利のない権威主義体制に陥りました。

何年にもわたってロシア人に課されてきた非常に一貫したプロパガンダと現職の大統領へのそのような支持と、完全なる弾圧への受動的な対応はそのプロパガンダの結果であると指摘する人がいるかもしれません。確かに、ロシアはプロパガンダにかなりのリソースを費やしています。2020年には、約50万人のジャーナリストによってプロパガンダが作成され、それは広められました。これは、ロシアジャーナリスト連合トップのソロビョフがそのような情報を述べています。その年の国営メディアの予算は、ロシア国民の税金を含めて13億ドルでした。

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ロシアとソ連の歴史専門家フレデリック・ケイガンによれば、大統領任期の初日から、プーチンは、ソ連の経済システムが持続不可能であったからではなく、ロシアが没落するように西側が全てをおこなったために、ロシアがそのような窮地に陥ったという神話を発展させました。西側諸国がウクライナをロシアの影響力から遠ざけることによってロシアの運命が台無しとなり続けることとなったという虚構は、このナラティブの良い参考となりました。

ユーロ・マイダンにおけるウクライナの抗議が西側諸国によって資金提供され、ネオナチも西側によって資金提供されたという架空でありロシアが広めたナラティブ、そしてロシア人を破壊するための秘密兵器を備えた生物研究所がウクライナに作られたとされるばかげた話でさえ、すり替えられた概念と歪んだ因果関係が描かれたキャンバスに入り組まれています。

ユーロ・マイダン革命、または尊厳の革命
2013年から2014年にウクライナの都市で行われた、汚職および法執行機関の恣意性への反対を示し、ウクライナの親欧的外交政策を支持する抗議。

22年間洗脳されてきたロシア人に同情する人もいるかもしれません。一方、Atlantic Councilの研究者であるピーター・ディッケンソンは、私たちは21世紀に生きており、ほとんどすべての人がインターネットにアクセスでき、その結果、プロパガンダに対抗できる代替情報源にアクセスできるようになっている、と述べています。さらに、今日、ヨーロッパとロシアの誰もが、ナチスのプロパガンダがどのように作成され効果的に宣伝されたか、そして他の国に対するある国の「覇権」的考えがどのような結果をもたらし得るかについて知っています。しかし、ロシア人は、自らが支援し彼らの名前でロシアが始めた血なまぐさい紛争に目をつぶることによって、彼ら自身が操作されることを許しました。

個人の罰、しかし集団の責任

すでに、多くのロシア人は、彼らに対する不当な攻撃、反露感情、そして彼らの文化に対する「キャンセル」について全世界を非難し、「私たちも辛い」と不平を述べています。ウクライナでの悲劇への関与を認めることをロシア人が望まないこと(「私たちはそれを望んでいなかった」)や、ロシアの一般市民が「平和を」望んでいるということは、プーチンの犯罪を犯していない「善良なロシア人」に関するナラティブをヨーロッパ諸国で普及させることに貢献しています。実際、それはクレムリンの一般的なプロパガンダの一部でもあり、それは普通のロシア人に対するヨーロッパのコミュニティでの共感を呼び起こし、その結果、ロシアへの経済的圧力を和らげることを目的としています。

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そのような政策の雄弁な例として、ロシアのジャーナリストであるマリーナ・オフシャンニコワの第一チャンネルでの件が挙げられます。2022年3月初旬、オフシャンニコワは戦争に反対するポスターを添えてニュース番組「ヴレーミャ」に出演し、後にロシアのプロパガンダを広めることを彼女自身が恥じている旨を収録しました。この行動の信憑性については多くの疑問があります。女性がポスターを持って国営メディアのスタジオに入ることができた方法や、ロシア連邦の法律に違反したことに対して軽すぎる罰で終わったということなどです。全世界の共感を勝ち取ったオフシャンニコワは、定評のあるドイツのメディアに就職してウクライナでの出来事を報道する権威を得ただけでなく、「善良なロシア人」の神話を宣伝するための基盤を築きました。現在、このプロパガンダ扇動者はロシアに対する制裁の解除を求めています

ロシア人が制裁措置による不都合の事例(家具店が閉店した、お気に入りの衣料品ブランドが市場から撤退した、または音楽サービスに加入できない)で情報空間を一斉に埋めようとしているという事実は、戦争の影響を受けたウクライナ人に対して共感を抱いておらず、愛する人・家・健康を失ったり拷問を受けたりした人々よりも、自分自身の問題に注意を向けようとしていることを示しています。経済制裁は、ロシア人がこの戦争に気づき、それに関して心配するための数少ない理由の1つです。少なくとも、彼らは他の「政治的」トピックについて積極的に話すことを敢えてしていません。

ロシアによるウクライナ侵略を「プーチンの戦争」と呼び、政治指導者・ジャーナリスト・文化人・その他の国の一般市民は、20年以上にわたるプロパガンダと弾圧の社会的影響を過小評価しています。独裁者が権力から外されたとしても、憎しみ、攻撃性、そして帝国主義敵野心はロシア社会に残ります。国で進行中の経済危機と政治的空白の文脈において、これは新しい外敵と新しい血なまぐさい紛争を探すことにつながる可能性があります。これを防ぐために、この状況を引き起こしたのは彼らのそれぞれの行動または行動しなかったことであることを、ロシア国民に説明することが重要です。したがって、すべてのロシア人は、行動しなかったことに対する代償を理解し、将来他の独立国家と平和的に共存することを学ぶために、ウクライナでの彼らの行動に責任を負わなければなりません。

写真:エフヘニー・フェリドマン

この社会の一部の犯罪に対する社会の集団責任の問題は、第二次世界大戦後に活発に研究され始めました。当時、ヒトラーの死や国民社会主義ドイツ労働者党の解散で十分だったという考えはばかげていました。これは特に、当時のアメリカ合衆国大統領フランクリン・ルーズベルトの「ドイツ国民は、国全体が無法に参加し、現代文明に対する陰謀に参加したことを理解しなければならない」という声明によって証明されています。カール・ユングも同じ見解を持っていました。彼は、意識的でも無意識的でも、すべてのドイツ人は戦争の恐怖に関与していたと述べました。哲学者のカール・ヤスパースは、集合的な罪の問題に大きく注目していました。最終的に「罪悪感の問題(Про питання вини)」という本に掲載された一連の講義で、彼は、独裁政権の確立を妨げなかったため、すべてのドイツ人がナチス政権の犯罪についてさまざまな程度で責任を問われるべきであると強調しました。

ウクライナでの戦争に対するロシア人の集団責任は、誰もが等しく有罪であることを意味するものではありません。罰は比例している必要があります。ウクライナで戦争犯罪を犯した兵士、犯罪的な命令を下した将校、この悲劇に直接関与している政府関係者およびロシアのプロパガンダ扇動者は刑事責任を問われる必要があります。しかし、ロシア軍の行動を支持し、ウクライナ人への憎悪を表明した他のすべての人々、および沈黙を守った人々は、少なくとも経済制裁と国際的な制約を通じて、彼らの行動または行動しなかったことによる結果を感じなければなりません。西側諸国からのそのような影響は、戦後のドイツがナチス政権の犯罪への関与を認識するのを助けたことから、プーチン政権に対する責任をロシア人に認識させるのを助けることが期待されます。これがなければ、ロシア社会の変革は不可能であり、そのような変革がなければ、私たちは世界の永続的な平和は期待できないでしょう。

コンテンツ作成スタッフ

プロジェクト企画:

ボフダン・ロフヴィネンコ

企画:

ナリニ・ラットナカル

編集長:

ナタリヤ・ポネディロク

編集:

カテリーナ・レフカ

写真編集:

ユーリー・ステファニャク

コンテンツマネージャー:

イロナ・バデンコ

翻訳:

藤田 勝利