ロシアがベラルーシの協力を得てウクライナへの本格的な侵略を開始した時、ロシアの選手たちは国際大会への参加を停止されました。しかし、戦争が未だ続いているにもかかわらず、2023年初頭にロシアとベラルーシは世界のスポーツ界に復帰し始めました。ロシア人とベラルーシ人に対してどのような禁止措置が取られているのか、なぜスポーツは政治とは関係のない存在ではないのか、なぜ可能な限りあらゆる分野で侵略国家に対してボイコットをし続ける必要があるのか、見ていきましょう。
2023年1月、国際オリンピック委員会(IOC)は、戦争を支持しないロシアとベラルーシの選手に対してパリオリンピックへの復帰を検討することを推奨しました。ロシア人とベラルーシ人は、最古のテニス大会であるウィンブルドン大会への参加も認められました。この決定には、ウクライナ、ポーランド、ラトビア、リトアニア、エストニア、ノルウェー、デンマークが反対しました。ウクライナ人は海外で抗議活動を行い、ロシアとベラルーシの犯罪を忘れさせないように、戦争が続いている間はこれらの国の代表を国際大会から除外するように呼びかけました。
ロシアのプロパガンダを宣伝する手段としてのスポーツ
ロシアは侵略的な政策を推進する手段として、スポーツを積極的に利用しています。ロシアの選手たちは、プロパガンダのイベントに参加したり、ロシアの武力侵略を正当化する主張をしたり、時には軍隊の階級まで得たりすることで、ウクライナに対する戦争を公然と支持しています。
ベルリン・オリンピック開会式でのヒトラーと後援者 写真はアーカイブより
2021年夏期オリンピックのチャンピオンであるロシアの体操選手ニキータ・ナゴルニーは、軍に所属し、ロシア国防省の下部組織であるユナルミアという青少年組織を率いています。2022年北京冬期オリンピックの銅メダリストであるバイアスロン選手エドゥアルド・ラティポフは、ロシア軍中央スポーツクラブのメンバーです。2022年春、ロシア国防相セルゲイ・ショイグはラティポフを中尉に昇進させ、「祖国への貢献」二等功労勲章を授与しました。また、2022年にロシア衛兵隊長に就任したスキー選手アレクサンドル・ボルシュノフとデニス・スペツォフは、ロシアの軍人選手です。
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2022年3月、ロシアのウクライナへの本格な侵略に際してモスクワのルジュニキ・スタジアムで行われたイベントにおいて、スキー選手のアレクサンドル・ボルシュノフや体操選手のディナとアリーナ・アヴェリナやビクトリア・リストゥヴァはスピーチをしました。このイベントの司会は、数十年にわたりオリンピック解説者として活躍してきたドミトリー・グベルニエフでした。
2022年3月、ロシアのウクライナへの本格な侵略に際してモスクワのルジュニキ・スタジアムで行われたイベントに出席しているロシアの選手たち 動画のスクリーンショット
2015年、2回のオリンピックチャンピオン、IOCのロシア代表であるエレーナ・イシンバエヴァは、セルゲイ・ショイグによって陸軍階級が授与されました。2016年、イシンバエヴァはシリアにおけるロシア軍のためのプロパガンダ演習に参加しました。同年、潘基文元国連事務総長は、アサド政権とロシアがシリアの都市アレッポの住宅を爆撃したと非難しました。
2回のオリンピックチャンピオンであるエレーナ・イシンバエヴァは、ロシア国防相セルゲイ・ショイグから陸軍階級が授与されました 写真:Ukrinform
ウクライナへの侵略は、体操選手のイヴァン・クーリャク、チェス選手のロマン・シロコフや、オリンピック参加者であるスキー選手のアレクサンドル・レグコフ、水泳選手のエフゲニー・リロフ、フィギュアスケート選手のウラジーミル・モロゾフ、ニキータ・カツァラポフ、ヴィクトリア・シニツィナ、体操選手のウラディスラヴァ・ウラゾワらからも支持されました。
ロシアは未成年の選手に対してまでプロパガンダ活動に参加させています。例えば、ウクライナに対する戦闘に参加しているロシア人を支援するために、ロシア軍中央スポーツクラブのスポーツ学校の生徒たちの間で「勝利のために!」というイラスト活動が組織されました。
ロシア人は競技会に参加するばかりでなく、スポーツ機関の会長も務めています。ロシア軍がマリウポリを壊滅させていた2022年5月13日、ロシアのウマール・クレムリョフは国際ボクシング協会の会長に再び選出されました。ロシア人のアルカジー・ドヴォルコーヴィチは2018年から国際チェス連盟(FIDE)の理事として務めています。ロシアによるウクライナに対する侵略についてウクライナを非難したロシアのチェス選手セルゲイ・カリャキンは、わずか6カ月の間、FIDE主催のトーナメントへの参加を停止されました。ちなみに、この選手はシンフェローポリ出身で、以前からウクライナ代表としてチェス大会に参加していました。しかし、2009年に、当時のドミトリー・メドベージェフ大統領の命令でロシアのパスポートを取得し、特にクリミア占領などについてロシア政権を支持するようになりました。FIDE倫理委員会は、ウクライナへの侵略を歓迎したチェス選手セルゲイ・シポフに対して制裁を課しませんでした。
ウマール・クレムリョフ
ロシアは帝国政策を推進するために自国の選手を利用するだけでなく、ウクライナ出身の選手も引き入れています。例を挙げると、2008年夏期オリンピックチャンピオンのアルトゥール・アイヴァズヤンや2012年ヨーロッパやり投げチャンピオンのヴィラ・レブリクは、クリミア占領後にロシアのパスポートを取得しました。しかし2016年、彼らはリオ・デ・ジャネイロ(ブラジル)のオリンピックに出場できませんでした。なぜなら、アルトゥール・アイヴァズヤンは自身の国籍を変更してからまだ3年しか経っていなかったからです。ヴェラ・レブリクは、ロシア陸上チーム全体とともに、ドーピングに関するスキャンダルの結果、オリンピック出場停止処分を受けました。
ドーピングとは
ドーピングとは、疲労の除去やパフォーマンスの向上など、競技能力を増幅させる可能性がある手段(薬物あるいは方法)を不正に使用することであり、スポーツの基本理念であるフェアプレーに反する行為です。ロシアは時に、よりグローバルな規模でウクライナのスポーツを侵害していました。2013年、ガスプロム社はロシアとウクライナの二国間の「サッカー連合選手権大会」のプロジェクトを発表しました。各国から9つのサッカークラブが参加する予定でした。ガスプロムはこのイベントのスポンサーになることを予定し、参加者にチャンピオンズリーグ以上の報酬を約束しました。大会の賞金総額は8億ドルになる予定でした。
プロパガンダイベントに出演したり、ソーシャルメディアに侵略を支持する投稿をしたり、占領軍の犯罪を黙認したりする全ての選手は、戦争とウクライナ人の殺害に加担しています。 彼らはスポーツ界にいるべきではありません。そうでなければ、スポーツ界は戦争支持という立場を容認していることになります。
ロシアはウクライナ選手を殺害している
ロシアの選手たちが戦争を支援する一方で、ウクライナの選手たちは武器を取って祖国を守り、ロシアの砲撃で命を落としています。ウクライナの青年・スポーツ省のヴァディム・フトツァイト大臣は、2023年4月1日の時点で、ロシア軍はウクライナの263箇所のスポーツ施設を破壊し、262人の選手を殺害したと述べました。これらの優秀なウクライナ人は皆、競技を続けたり、新しい世代の選手を育成したり、スポーツを発展させたりする可能性のある人たちでした。彼らが死亡したことは、ウクライナのスポーツ界ばかりか、世界のスポーツ界にとっても大きな損失です。
完全に破壊されたユニフェフトホールにいるフェンシング選手たち 写真:ミコラ・シネーリニコウ
マリウポリでは2022年春、ボクシングコーチのロマン・ザハロウとサッカーコーチのヴィクトル・トカチュクがロシア軍の砲撃で死亡しました。
2022年3月、当時占領下にあったキーウ州のモティジンで、ロシア軍がサッカー選手のオレクサンドル・スヘンコと、コーチである彼の父イーホル、そして村長である彼の母オリハを拉致しました。家族が森に連れて行かれ銃殺され、キーウ近郊の占領解除後の発掘調査で彼らの遺体が発見されました。本格的な侵略が始まった時、オレクサンドル・スヘンコは故郷のモティジンに留まり、村人たちの避難を助け、人道支援物資を届けていました。
2023年1月14日、ドニプロの高層ビルへの爆撃は、ウクライナの著名なボクシングコーチであるミハイロ・コレノウシキーの命を奪いました。当時、散歩に出かけていた彼の妻と子供たちは無事でした。同じミサイル攻撃で、ダンサーだった15歳のマリア・レビヂと、コーチ・スポーツアクロバット審査員・タンブリング選手であるアナスタシヤ・イフナテンコも死亡しました。
ミハイロ・コレノウシキーのアパート跡 写真:ユーリ・ステファニャーク
ウクライナの選手の中には、戦線で命を捧げた者が多いです。マリウポリのアゾフスタリでの戦闘では、クラシックレスリング選手のミハイロ・ポポウ、パワーリフティング選手のユーリ・ルチェチュコ、ムエタイの世界チャンピオンであるオレクシー・ヤーニンが死亡しました。2022年7月29日夜、占領地オレニウカでのテロ攻撃で、ロシア軍は捕虜として捕えていた柔術選手のオレクサンドル・バベンコとボクサーのスタニスラウ・アルテメンコを殺害しました。
柔術
武器を使用するかしないかを問わず、1人または複数の相手と接近戦を行う日本の武術2022年9月、解放されたばかりのイジュームで集団墓地の発掘が行われ、青と黄色のブレスレットをつけた男性の遺体が発見されました。死亡したのは、ウクライナの兵士でボクシング選手のセルヒー・ソヴァでした。イジューム占領中、ロシア軍は他のウクライナの軍人とともにこの男性に対して拷問を行いました。
発掘されたセルヒー・ソヴァの手のブレスレット 写真:オープンソースより
登山家のミコラ・ティモシェンコ、走高跳選手のロマン・ポリシチュク、バレーボール選手のヴヤチェスラウ・シャホウ、フィギュアスケート選手のドミトロ・シャルパル、キックボクサーのヴィタリー・スティバもロシアの侵略から国を守るために命を落としました。
ロシア人が殺害しているのはウクライナの選手だけではありません。2022年7月、ポーランド人志願兵でウクライナ領土防衛部隊外国人軍団の兵士であったトマシュ・ヴァレンテクは、ドネツク地方において戦死した仲間を避難させる際に、敵の砲撃により死亡しました。普段彼は小児科医であり、MMA(総合格闘技)ファイターでした。ヴァレンテクの婚約者マルタは、ロシアによるウクライナへの全面侵略が始まった後、ウクライナ人が自由を勝ち取るのを助けるために夫は直ぐに志願したと述べています。
ロシアとベラルーシの選手に対する制裁解除
2022年2月末、ロシアとベラルーシの選手は国際スポーツ大会への出場が禁止されました。スキャンダルもありました。公式声明にもかかわらず、ロシアとベラルーシの選手の各種競技への参加が認められたこともありました。例えば、テニス協会はロシア選手を団体競技のみから除外しましたが、個人選手の大会参加は認められていました。2023年、IOCのトーマス・バッハ会長は、ロシア人とベラルーシ人の2024年パリオリンピックに対する出場禁止に反対する旨を示唆しました。バッハ会長は、パスポートの国籍を理由に選手を競技から除外することは「オリンピック憲章に相対するものだ」と述べました。彼は、選手が「中立」の立場であれば復帰を認めるとするIOCの方針を改めて強調しました。IOCの使命は世界中の選手を団結させることだとも述べています。
「中立」選手として出場しているロシア代表選手 写真はオープンソースより
IOCは声明の中で、国連の文化的権利及び現代の人種差別に関する特別報告者からの書簡を含む、いくつかの要因がロシアとベラルーシの出場賛否の決定に影響を与えたと述べました。その特別報告者は、ロシア人とベラルーシ人のオリンピック参加禁止を懸念しています。IOCはまた、2022年の第77回国連総会において、国際スポーツにおける平和的かつ統一的な使命が議論されたことにも言及しています。IOCは、1992年にバルセロナ夏季オリンピックに、各国家が独立を望んでいたために当時国連の制裁下であったユーゴスラヴィア(現在のボスニア・ヘルツェゴビナ、北マケドニア、セルビア、スロヴェニア、クロアチア、モンテネグロ、コソボ)においては、「中立」の立場で出場した選手たちの参加が認められたことを想起しました。
IOCのトーマス・バッハ会長とプーチン
ロシア人とベラルーシ人に対する制限を解除することは、ウクライナに対する戦争犯罪を認めることにつながります。このような措置は戦争が終わったかのような錯覚を起こしますが、実際には決してそうではありません。ロシア人とベラルーシ人は、ウクライナ人を殺し、拷問し、都市を破壊し続けています。だからこそ、ロシアとベラルーシへの譲歩は許されないことです。
2023年1月、ウクライナ側はロシア人とベラルーシ人の参加を認める意向に対して反応しました。ウクライナのドミトロ・クレバ外相は、「IOCは侵略者によって殺された罪のないウクライナ人の墓を踏みにじる可能性がある」と述べました。オレクシー・レズニコウ国防相は、ロシア人はウクライナ市民の血で汚れており、いかなる旗の下でもオリンピックに参加することはできないと主張しました。
ゼレンシキー大統領は、戦争中における中立の立場は容認できず、ロシアの競技参加は戦争が終わってからしか検討できないと述べました。また、バッハ会長の声明に対する失望を表明し、ロシア人を国際スポーツに参加させようとする国際的なオリンピック機関の姿勢に対抗するために「誠実なるマラソン(ウクライナ語:марафон чесності)」を開始することを発表しました。ゼレンシキー大統領は、専制的な国々がイデオロギーを広めるためにスポーツを利用していることについて触れました。また、ウクライナの選手たちはロシアから祖国を守り、敵の砲撃で命を落としていることを指摘し、バフムートへ訪問するようにバッハ会長を招待しました。
ウクライナの青年スポーツ省のヴァディム・フトツァイト大臣は、2023年4月にウクライナの選手たちにロシアとベラルーシの選手が参加している競技への参加を公式に禁止しました。この条件が満たされない場合、ウクライナ代表は帰国することになります。青年スポーツ省はまた、特別委員会が命令違反の件を検討し、禁止令に従わないスポーツ連盟の国家資格を剥奪する可能性があることを強調していました。
しかし、バッハ会長の声明後、ロシア人の世界スポーツ復帰を許可する波はさらに大きくなりました。2023年3月末、ウィンブルドン大会の主催者であるオールイングランド・ローンテニス・アンド・クローケー・クラブ(AELTC)は、ロシアとベラルーシの選手が中立的な立場として2023年大会に参加することを許可しました。この声明によると、ロシアやベラルーシ当局から資金援助を受けている選手や、国営企業からスポンサー料を受け取っている選手は大会に参加できません。また、選手はウクライナに対する戦争を支持してはなりません。
2022年2月4日、北京冬季オリンピックの開会式に出席しているプーチン 写真:Sue Ogrocki、APより
ウクライナのドミトロ・クレーバ外相は、この解決策が倫理違反だと主張し、AELTCが犯罪者に妥協しようとしていると述べました。そして、英国政府にロシアとベラルーシのテニス選手へのビザ発給を拒否するよう求めました。
2023年4月に、国際柔道連盟(IJF)もロシアとベラルーシの出場を認めました。ロシア人とベラルーシ人は、「中立」の旗の下でスポーツ大会に参加することになりました。さらに、独立した委員会が、選手がウクライナ侵略についてのプロパガンダを流布したかをチェックします。
国際柔道連盟は、人権を尊重し、団結、友好、平和を維持する手段として柔道を推進すると述べ、民族、宗教、性別に関係なく選手となる機会を提唱しました。また、IJFはスポーツが対話と和解のための主要な架け橋だと述べました。ちなみに、プーチンは2008年から活動停止にされた2022年までIJFの名誉会長を務めていました。
ウクライナ国旗の色の畳にいるプーチン 写真:Getty images
2023年5月、ヨーロッパ柔道連盟は、ロシアとベラルーシを大会に復帰させるという国際連盟の決定を支持しました。2024年に行われるオリンピックの予選大会(ドーハ)にロシアとベラルーシの選手が参加することに同意しました。ヨーロッパ柔道連盟は、公に戦争を支持しない、軍人ではないロシアとベラルーシの選手に対しては参加が許されると指摘しました。その選手は「中立」選手として競技します。
この決定を歓迎したのは、ロシア柔道連盟のセルゲイ・ソロヴェイチク会長でした。ソロヴェイチクは、彼の連盟の主な仕事はオリンピックに出場することであり、将来的には、ロシア人がより多くの大会に参加することを計画していると述べました。
ウクライナの国立オリンピック委員会(NOC)は、IJFが協定に違反し、ロシア軍に所属する柔道選手の出場を認めたと述べました。これは、治安部隊に所属していない選手のみが「中立」であるというIOCの声明と矛盾します。
ウクライナ柔道連盟は、カタールのドーハで開催される世界選手権の申請を取り下げ、IJFにロシアの選手による中立条件違反を通告しました。国立オリンピック委員会は、ロシアの軍人であった柔道選手のリストをIOCに送付しました。そのような選手の大会参加はオリンピック憲章を無視した前代未聞の行為だと主張しました。
IJFのヴラード・マリネスク会長は、大会への参加を認定されたロシアとベラルーシの選手たちはプロパガンダを流布しなかったと述べました。また、ウクライナ人の抗議に対して遺憾の意を表明しました。
プーチンと柔道家たち
ロシアとベラルーシの選手がオリンピックを含むスポーツ大会に参加することに対する抗議行動
ウクライナ外務省の青年協議会は、25以上のグローバル・コミュニティの協力を得て、#BoycottRussianSportキャンペーンを開始しました。その目的は、2024年パリオリンピックへのロシアとベラルーシの選手による出場を阻止することです。2023年3月28日時点、青年協議会は16通の書簡をIOCに送り、そしてイタリア、ルーマニア、ドイツ、オランダ、イギリス、スペイン、オーストリア、ベルギー、フランス、カナダ、ポーランド、アメリカ、スイス、スウェーデン、チェコ、モルドヴァ、ウクライナからビデオメッセージを送りました。その内容は、ロシア軍がウクライナの選手を殺害し、スポーツ施設を破壊している一方で、ロシアの選手は戦争を支援していることを訴えているものです。青年協議会のメンバーは、ロシアとベラルーシの選手に対する大会出場停止を求めました。
2023年3月29日、ブリュッセルでウクライナ人がロシア人とベラルーシ人のオリンピック参加に反対する抗議イベントを主催しました。参加者は赤いペンキで塗られたスポーツ服を持参し、ヨーロッパオリンピック委員会のEU代表部の建物の前に集まりました。その目的は、ウクライナ人の血でロシア人選手の手が染められていることを訴えるためでした。主催者であるマルタ・バランディーは、ロシアとベラルーシによる侵略のために、愛する人たちが戦っている、あるいは苦しんでいるウクライナ人の立場をIOCに伝えたかったと述べました。ヨーロッパオリンピック委員会の代表は、抗議者たちを事務所に招待しました。抗議者たちは外交官に対し、ロシア人とベラルーシ人のオリンピック参加を拒否するように呼びかけました。
血まみれのスポーツ用品 写真:24チャンネル
同時に、2023年3月、中国ではフェンシング・ワールドカップの主催者は、ロシアとベラルーシの選手の出場を認める意向を示し、これに対するウクライナの選手による抗議を阻止しました。ウクライナの選手たちは、全面戦争で死亡した選手の人数が書かれたバナーを広げました。さらに、ロシアとベラルーシを大会に復帰させるという決定に反対するというステッカーをマスクに貼りました。ウクライナチームのメンバーであるヴラーダ・ハリコヴァは、ワールドカップの主催者側がバナーとステッカーを取り除くよう選手たちに強要したと述べました。
ヴラーダ・ハリコヴァ 写真:公共放送局
世界のスポーツ界でロシア人とベラルーシ人のボイコットを求めようとしているのはウクライナだけではありません。ポーランド、リトアニア、ラトビア、エストニアは、「中立」選手として出場することを含めて、ロシア選手とベラルーシ選手がオリンピックに参加することに対して反対の意志を表明しました。ロシアは自国の政策を推進するためにスポーツを利用しており、IOCは「プロパガンダ活動」に加担すべきではないと、ラトビアのエドガルス・リンケービッチ元外相は述べています。
さらに、デンマークもロシアとベラルーシの選手への制裁解除に反対しました。2023年3月、デンマークのフェンシング連盟は、ロシアとベラルーシの選手の国際大会への参加が認められたことで、主催していた国際大会をキャンセルしました。同連盟のヤン・シルベスター・イェンセン会長は、フェンシング選手がロシア人やベラルーシ人との競技を拒否する権利があるため、他の大会で混乱が起きることを予想しました。
2023年4月、ノルウェーフェンシング連盟はロシア人とベラルーシ人が参加する大会のボイコットを決定しました。同連盟は、ウクライナに対して哀悼の意を表し、平和を望んでいると述べました。ノルウェーはスウェーデンとフィンランドとともに、独自のフェンシング大会の開催も計画しています。
この戦争に対する欧州各国政府の注意を喚起するために設立されたフランスの人権団体「Pour L’Ukraine」は、ロシアによるウクライナに対する犯罪が行われている一方で、ロシアが世界のスポーツ界に復帰することは容認できないとする声明を発表しました。その上、ロシアの選手の参加は、「普遍的・基本的・倫理的諸原則の尊重」、「人間の尊厳保持に重きを置く、平和な社会を推進すること」を呼びかけているオリンピック憲章に反しています。声明の著者たちは、IOCとすべてのスポーツ連盟に対し、ロシアがウクライナから軍を撤退させるまで、ロシアとベラルーシの選手の出場を禁止するように求めました。
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スポーツは政治と関係なく存在することはできません。ロシアとベラルーシは、自分たちの全体主義体制を宣伝するためにスポーツを利用しています。ウクライナの選手は爆撃や戦場で命を落としている一方で、ロシアの選手はウクライナの侵略を支援しています。だからこそ、あらゆる分野でロシアとベラルーシをボイコットすることが必要であり、それはスポーツも例外ではありません。国際社会に圧力をかけ続ける必要があります。なぜなら、それが結果を出しているからです。より多くの国や組織が、ロシアによるウクライナに対する戦争を理由に、様々な分野でロシア人やベラルーシ人に制限を課しています。