ロシアは常に世界に影響を与えようとし、「西側諸国はロシアを尊重しなければならない」「EUはロシアなしでは生き残れない」「制裁はモスクワに害を与えるのではなく、むしろモスクワを強くする」などといった帝国主義的なナラティブを推し進めてきました。これらの主張はいずれも、軍事的・経済的圧力ではなく、文化やナラティブを通じた影響力の手段であるソフトパワーによって推進されています。
ヨーロッパのロシアへのガス依存は前世紀に始まり、今日においてガスはウクライナに対する戦争におけるロシアの武器となっています。ノルドストリーム2は、バルト海下のガスパイプラインで、ウクライナや東欧諸国の領土を迂回してヨーロッパに燃料を供給するために建設されたものです。こうすることで、ロシアは自国のガス市場を確保しつつ、ウクライナを支援する欧州諸国への影響力を高めることができるのです。
今回は、ウクライナの安全保障がノルドストリーム2の動向にどう関わってくるかを見ていきましょう。
第二次世界大戦後最大の欧州危機と国際安全保障体制の揺らぎは、ロシアがウクライナに本格的な侵略をかけた結果です。侵略国のテロ行為は、戦場での民間人の死亡、民間インフラの破壊、人災につながっています。この結果は、ウクライナだけでなく、ウクライナが各々のレベルの関係を築いている他の国も感じています。
現代のハイブリッド戦争には誰もが関わっており、ロシアの占領者に抵抗する民間人を巻き込む創造性には驚かされるばかりです。軍は公式のものだけではありませんし、武器は金属でできているものだけではありません。特に、柴犬のコラ画像をアバターにしたツイッターユーザーが、インターネット上でロシアのプロパガンダ扇動者の活動を妨害し、軍隊の資金調達のために自己組織化したことは、その証明と言えます。この人たちは、北大西洋機関のいわゆるFellas(あなたが最初に思い付いた北大西洋機構のほうではありません)であり、情報戦線において面白いが効果的な対抗手段を考案したのです。
ロシアによるウクライナへの全面的な侵略は、ウクライナ国内だけでなく、ポーランド、チェコ共和国やブルガリアからアメリカ、メキシコやベトナムまで、全世界のさまざまな地域でウクライナ人を団結させました。何千人もの人々がウクライナを支援しています。最前線のため車や救急車を購入したり、ウクライナ難民に住む場所を提供したり、ウクライナの人たちを支援するデモなどをしたりしています。今回は、ウクライナを支援するために団結したさまざまな国からのボランティアに関連したイニシアチブの数々を集めてみました。このリストはすべてを網羅しているわけではありませんが、団結したウクライナ人を打ち負かすことはできないことを明確に示しています。
ロシアは、石炭、石油、ガスの主要供給国の一つです。これを利用し、ウクライナへの武力侵略に対して自国に経済制裁を課している国家を恐喝しているのです。石油とガスを売ることで、ロシアは戦争を続けるための資金を得ることができます。EUの制裁パッケージ第五弾では、2022年8月からロシアの石炭禁輸措置が導入され、ポーランドはロシアとのガス協定を早期終了し、3月上旬にはアメリカがロシアの石油・ガスの輸入を禁止するなど、世界はロシアのエネルギー資源の販売を制限する措置を取っています。しかし、欧州諸国と世界国家はロシアの資源にどれだけ依存しているのか、完全な禁輸は可能なのか、考えてみましょう。
戦争の予防のための保障措置の1つは、ライバル国の経済的な相互依存です。したがって、一方の国が国際法の規範に違反したり、攻撃的な侵略を開始したりすると、もう一方の国はその国に対して経済制裁を適用します。これは、特に前線を超えた戦争の過程に影響を与える強力なツールです。経済制裁とは、個人、個人のグループ、企業、または経済部門に課せられる経済的な制限です。侵略国であるロシアは、世界的な制裁を回避することはできませんでした。欧州連合は、2022年2月から6月まで6つの制裁パッケージを発動しました。6月27日、ロシアは債務不履行に陥りました。