Share this...
Facebook
Twitter

本格的な侵略の最初の日から「キッチン部隊」は兵士、医者や看護師、避難民、そして食料を必要とするすべての人々に食料を提供してきました。料理のイニシアチブのおかげで、今では世界においてより多くの人々がウクライナについて学び、それを金融的に支援しています。領土一体性の回復とロシアの影響力からの最終的な撤退のためのウクライナの戦争は多くの面で続いており、料理もその1つです。他の多くの専門家コミュニティと同様に、ウクライナの食事分野に携わっている労働者とボランティアは、勝利を近づけるために団結しました。

ロシアによる本格的な侵略は、ウクライナ経済に顕著な影響を与えています。一時的な占領と戦闘の地域での明らかな損失、およびインフラの破壊による損害に加えて、多くの企業、特に飲食業界が操業を停止したり、スタッフを削減したりしています。店舗自動化の企業であるPoster POS のデータによると、侵略が始まった最初の数日間、ウクライナの店の19%が営業を続けていました(7月現在、この指標は74%に増加し、営業している喫茶店、コーヒーショップ、およびバーが戦前の指標の82%のターンオーバーを維持しています。)しかし、ウクライナの店は、事業を再開したり継続したりしたいだけでなく、困難な時期にそれを必要とする人々を支援したいのです。

写真:ユーリ・ステファニャク

兵士や避難民を養う

戦時体制の最初の日以来、ウクライナのレストラン、カフェ、コーヒーショップは新しい現実に適応してきました。それらのいくつかは、兵士や民間人に無料で食料を提供し始めました。自分のキッチンをボランティアの調理場に変え、1日に何千もの食事を用意してきたところもあります。例えば、3月初旬、リヴィウのレストラン会社Restaronは、兵士向けに10万の食事を用意しました。Kyiv Food Marketと「モロディスチ」の共同創設者は、「ヴェレス」の創設者と団結して、キーウにおいて兵士や領土防衛部隊および病院の代表者のために毎日約2万の食事を用意しています。

十分な食事を提供できなかった店は、食料を必要とする人に自らの在庫の食料を提供しました。マクドナルドは、侵略が始まった後、安全上の理由でウクライナでの操業を停止し、倉庫から人道支援センターに食料を分配しました。マクドナルドは、「ロナルド・マクドナルドの家」基金と共にボランティア団体を通じて、戦争で苦しんでいるウクライナ人を支援し始め、例としてウクライナの病院に医薬品を寄付しています。同時に、ウクライナ人はチェーン営業の再開を待っています。これに関しては、マクドナルドのウクライナオフィスはすでにウクライナ外務省と交渉を行っています。

戦争にもかかわらず、ウクライナの起業家は軍隊と後方に携わる人に食料を供給するだけでなく、新しいプロジェクトを立ち上げています。エウヘン・クロポテンコとインナ・ポペレシュニュクがリヴィウで「イーンシ」というビストロを開業し、通常の有料メニューに加えて、無料のメニューも提供しています。ザポリッジャとドニプロでは、Rock’n’Rollという寿司とピザの配達サービスが店を再編成し、現在、戦争地帯に配達する真空パック食品を生産しています。マリウポリのピッツェリア「モコピザ」も、40〜50個のピザを用意し、安全なときにチェックポイントに配達しました。マリウポリを出た後もボランティア活動を続け、費用を賄うWorld Central Kitchen組織の支援を受けて、ドニプロで避難民を養っています。これは団結と相互援助の一例に過ぎませんが、実際にはウクライナにはこのような例が非常に多いです。

写真:ユーリ・ステファニャク

いわゆる「保留」コーヒーは非常に人気があります。そのようなサービスを提供する店では、誰でもアメリカーノまたはラテのポットを「保留する」ことができます。これをするには、飲み物の代金を支払うだけで、後で兵士、救助隊員、または医師の1人が飲むことができます。キーウの「ザヴェルターイロ」ベーカリーはこのようにウクライナ軍にコーヒーとペストリーを提供し、菓子カフェ「Honey」はこのように消防士と医師を支援しており、ドニプロの「フーント・カーヴィ」カフェは、ウクライナ軍や領土防衛部隊のためにコーヒーを「保留する」ことを可能にしており、地元の病院にも挽いたコーヒーを供給しています。

一部のレストランやケータリングサービスは、防衛者に「保留」食事を提供し、レストラン経営者であるディーマ・ボリーソフは「兵士のための保留シャウルマ」運動を開始しました。誰でもウェブサイトまたはモバイルアプリケーションを通じてチャリティーシャウルマやドーナツを注文できます。60人前に達するとすぐに、それは用意され、キーウやその地方で活動している軍隊の1つに送られます。それに加えて、「保留チーズケーキ」が加わりました。

さまざまな店のメニューに、新しい料理や今の困難な情勢に応じた料理の名前が登場しました。これで顧客の注意を引くためのマーケティング戦略として使用する店もあれば、防衛している人たちにこれらの料理の販売による収益を送金する予定である店もあります。例えば、ポルタヴァでは、4月以降、ウクライナ軍と領土防衛部隊を支援する「Food連隊」というチャリティー運動が開始されました。地元のコーヒー ショップ、レストラン、カフェでは、情勢に応じた名前の付いた料理(例えば、「バンデーラのデルニー(ポテトパンケーキ)」や「勝利の味のハルシュキ(パンボール)」)を看板メニューに追加し、売り上げはすべて防衛している人を支援するために送られます。

レストランやカフェだけでなく、ボランティアも美食の最前線で働いています。このように、「リヴィウボランティアキッチン」は、ロシアがウクライナ東部で戦争を開始した2014年に活動しはじめました。ボランティアは野菜を乾燥させ、最前線でスープやボルシチを調理するのに適したセットを構成しました。そのような野菜セットが最前線に送られました。本格的な侵略が始まると、プロジェクトは止まったどころか、生産量を増加させました。現在、食品は慈善家のおかげで供給されています。

アーンナ・ヤンコヴェーツとオレーシャ・ヤローヴシカは、コロミイヤで公益法人「コロミイヤボルシチ」を組織しました。同者は数十人の参加者のコミュニティを集め、一緒に食品を持ち込み、それらを使用して兵士のため戦闘最前線での調理に便利なボルシチ・スープセットを用意しています。このプロジェクトはこれによって兵士を支援するだけでなく、一時的に占領された地域や戦争地帯からコロミイヤに移動した女性に仕事を提供しています。

地方レベルで需要を満たす公的なイニシアチブもあります。プロのシェフが学校の食堂などでボランティアと協力し、防衛している人たちのためにソーセージ、ヴァレニキ、ロールキャベツなどのウクライナ料理を用意します。避難民もしばしばそのようなイニシアチブに参加しています。

外国の料理コミュニティはウクライナ人をサポートしています

ウクライナでの戦争に関しては、無関心である料理界の世界的リーダーはいません。料理業界に携わる国際的な会社や企業はロシア市場を次々に去りつつあり、中立的な立場を維持し続けている企業は、積極的なウクライナ人からだけでなく、パートナー国からもソーシャルメディアで激しい非難を受けています。このように、本格的な侵略が始まって以来、フランス料理ガイドのMichelinのチームはロシアでの活動を停止し、The World’s 50 Best Restaurants賞も同様に停止しました。また、アメリカのファーストフードチェーンであるマクドナルドがロシアで30年間営業した後ロシア市場から脱退したことは、侵略国家の孤立の象徴の1つになりました。

ウクライナのよポジティブなイメージの促進、またウクライナとロシアの間の軍事政治的状況に対する他国の市民の関心の高まりも、料理のプリズムを通じて行われています。例えば、有名なウクライナ人のシェフであるユーリ・コウリジェンコは、在イギリスエストニア大使館での午餐でボルシチを用意し、そのプロセスを真のパフォーマンスとして行いました。

ウクライナ人は友人や仲間たちにのために喜んでボルシチを調理していますが、「いい」またはそんなに良くないロシア人はもはやボルシチを「全スラブの伝統」と名付ける理由はありません。7月1日、ウクライナのボルシチの作り方がユネスコの無形遺産に登録されました。この決定のための戦いは、ロシアの侵略が始まる前から続いていました。もちろん、ロシアはこのニュースに満足していません。ロシア外務省の代表であるマリーア・ザハーロワは、再び「キーウ民族主義者」について話しました。彼女の嘆きに応えて、エドガース・リンケヴィッチス・ラトビア外相は、「好きかどうか我慢してくれ、俺の美人」という2月7日付のプーチン大統領の嘲笑の言葉を引用さえしました。

現在世界中で開催されている午餐やウクライナ料理のマスタークラスのほとんどは、慈善的な要素を含んでいます。シェフであり料理ライターでもあるオーリャ・ヘルクレースとシェフのアリーサ・ティモーシュキナは、#CookForUkraineというフラッシュモブを立ち上げました。その枠内では、店や個々のシェフがボルシチ、フレチャーニキ、ヴァレニキ、およびパンプーシキを用意し、それらを販売したり、チャリティーイベントを開催したりすることによって、ウクライナを支援するための資金を集めています。

料理業界の多くの専門家コミュニティが、ウクライナを支援するためにフラッシュモブを立ち上げました。

#BrewForUkraine ― ビールの醸造者は、GLORY 2 U、Common Enemy、Bayraktar Dry Stoutのようなテーマに沿ったビールを提供しています;
#BakeForUkraine ― ベーカリーの運動;
#DrinkersForUkraine ― アルコール飲料メーカーの運動;
#FermentForUkraine ー キムチやその他の発酵製品の販売;
#MakeDrinksNotWar ー バーテンダーはカクテルを作るのを提供しました;
#MakeBorschtNotWar ー ウクライナ料理の伝統を広めたり、ウクライナへの支援を呼びかけたりしているシェフのエウヘン・クロポテンコのハッシュタグ

ウクライナの料理産業の代表者の雇用を支援するイニシアチブが積極的に機能しています。素晴らしい例の1つは、国際的なパートナーシップのおかげで、戦争のせい家や職場を離れざるをえなかったウクライナの女性シェフやレストラン業界の専門家を外国で雇用しているChefs for Ukraineというプロジェクトです。チームは、接客分野で働きたい人からの請求や店からの欠員を集めます。

HoReCa Angelsという同様のソーシャルプロジェクトのアイデアは、レストラン経営者のアンドリー・マハレーツキーとアルトゥール・ルパーシコ、およびマーケティング担当者のテチャーナ・ホンチャレンコによって実施されました。

ボランティアのチームは、ウクライナで接客分野で働いていたウクライナ人が、外国または現在より安全なウクライナ西部で良い仕事を見つけるのを支援しています。

HoReCa
英語のhotel, restaurant, cateringの略語であり、店およびホテル分野の経営者および参加者が接客業界を表すために使用する概念

相互支援のウクライナ料理イニシアチブ

戦闘行為や地雷のために畑へのアクセスがなく、運送や製品の販売能力に問題があり、十分な肥料や動物飼料がなく、および労働不足に悩んでいるウクライナの農場も支援が必要としています。ロシアがウクライナでの戦争を通じて世界的な食糧危機を引き起こそうとしていることは、すでに全世界に明らかになっています。そのため、残念なことに、農場は侵入者の意図する的の1つになることがよくあります。

写真:ウクライナ軍の本部

外食産業はこれに注目し、地元の生産者をポピュラーにすることができます。そのようなイニシアチブの1つがThe Victory Menuです。シェフのイーホル・メゼンツェウと料理専門家のコミュニティが、多数の地元の食材を使用した多様のウクライナ料理のレシピを作りました。ウクライナで営業を続けているレストランは、地元の農家から食品を購入することで地元の農家を支援するのを勧められます。ちなみに、この解決策は、輸送用の燃料を大幅に節約できるため、環境にいいです。イニシアチブ内では慈善ディナーも開催され、このようにして集められたお金は、中小農場を支援したり、破壊された産業を回復したりするための基金に送られます。

また、食料安全保障を強化するために、ウクライナ人は「勝利の庭」を栽培すること、つまり、バルコニーや中庭などに植えやすい食用植物を植えることを勧められています。これは、第一次世界大戦と第二次世界大戦の時代にも広く行われた慣行であり、利用可能な土地を効果的に使用するだけでなく、人々の精神的状態を改善するのにも役立ちました。

イーホル・メゼンツェウはまた、The Victory Menuに加えて、ウクライナ料理の伝統や地元の食品への関心、かつ戦争中で料理人、農家およびレストラン経営者を支援したいという願望から団結したウクライナ人シェフからの諸美食イベントである「ワールティ」イニシアチブも開始しました。イーホルは、7月5日にウクライナ料理レストラン「100年早送り」の近くで自らの出身地ハルキウの料理を含む「家へ」と呼ばれる最初のそのようなディナーを用意しました。

ウクライナのアルコール産業の専門家グループがBudmoUAプロジェクトを設立しました。その主な目的は、毎日ウクライナで何千人もの人々のために料理を用意しているウクライナのレストランを支援することです。イニシアチブに参加するために、外国のバーはウクライナに専念されたカクテルをメニューに加え、その販売からの収入の一部をウェブサイトを通じてプロジェクトに送金することができます。また、ウクライナを支援するために、諸国のバーがBudmoUAという名称で慈善イベントを開催しています。

「ウクライナ創作料理」「パーニ・ステーファ」「Seeds and Roots」「Ukrainian Culinary Heritage Project」「実践的な料理」「忘れられたものと新しいもの」「ハリチナ料理グループ」などのウクライナ料理プロジェクトは、週に二回のオンライン講義を開催するために団結し、その資金はウクライナ軍を支援するために使われます。集められた資金は、ウクライナ軍の部隊にハイテク機器および光学機器を提供することを専門とする「リヴィウ騎士」というボランティア組織に送金されます。

ヴォロディーミル・ヤロスラーヴシキー、オーリャ・マルティノーウシカ、リーザ・フリーンシカ、ヴァディム・ブジェジーンシキー、アリーサ・クーペルを含む多くのウクライナのレストラン経営者とシェフが慈善プロジェクト「ウクライナ料理のマラソン」を開始しました。ウェブサイトで寄付した参加者は、ウクライナ料理に関するレシピやストーリーを含むライブ放送または録画ビデオにアクセスできます。集められたすべての資金は、戦争で被害を受けたウクライナ人を支援するために送られます。

写真:ソフィヤ・ソリャル。

ウクライナのためのボランティア活動

World Central Kitchen(WCK)という国際人道組織は、自然災害の影響を受けた人々を食料で支援しています。ロシアによる本格的な侵略が始まって以来、この組織はウクライナでも活動しており、3月以降、リヴィウで本部が機能しています。シェフ兼レストラン経営者であるホセ・アンドレスの注意深いリーダーシップの下で、組織はウクライナのレストランとパートナーシップを結んだり、困っているウクライナ人に食料を提供したりしています。ウクライナでの3か月以上の活動により、WCKは活動範囲をウクライナとポーランドの国境からウクライナの230以上の市町村に拡大し、2,500万以上の食事を提供することができました。World Central Kitchenは、サイトで寄付を募り、料理を用意する施設がボランティアキッチンの運営費を賄たり生産量を増やしたりすることができるようにこれらの施設に寄付しています。

世界の著名人は、ウクライナでのWCKの人道的ミッションのために資金を寄付したり、WCKの下でボランティアに参加したりしています。このように、カルトのロックバンドであるMetallicaは、ウクライナに100万ドルを寄付しました。50万ドルはバンドのメンバーが寄付し、それに等しい金額はファンが集めました。ハリウッド俳優であるリチャード・ギアは収集価値のあるオープンカーを販売し、World Central KitchenとOpen Arms Ukraineの慈善団体の間で集められた31,750ドルを割きました。また、監督であるキャリー・フクナガとリーヴ・シュレイバーは、WCK慈善団体に参加し、国境やウクライナで難民に食料を提供しています。

セレブや大規模な国際組織に加えて、中小企業の経営者、慈善家、またはウクライナ出身の人々など普通の外国人もウクライナ人への支持を表明しています。例えば、ベーカリーのヤツェク・ポレーフスキは、ポーランドのポズナン市から、ロシアの占領者によって破壊されたキーウ地方のブチャに来て、地元住民のためにパンを焼いています。彼はポーランドで500キロの小麦粉を積み込み、途中でリヴィウでさらに600キロの小麦粉を購入しました。ヤツェク・ポレーフスキは、地元のパン屋「パン屋のおうち」の所有者と一緒に、建物内を掃除してから、パンを焼き始めました。

ウクライナでの出来事に関する目撃者、ボランティア、報道関係者の話は、占領、戦闘行為、封鎖、緊急避難、人道危機などのような、何百万人もの人々が皆同時に体験している非常に困難な生活状況であっても、優しさや相互支援の場があることを示しています。急がないで家を出ることができたウクライナ人は隣人に食品を配り、より安全な地域で移民に会う人々は移民のためにサンドイッチ、ペストリー、その他の料理を用意します。このようにして、人々はお互いを支援するだけでなく、食糧や自家製の食料を提供することによってウクライナを防衛している人を常に支援しています。そのような例はたくさんありますから、すべてがメディアやソーシャルネットワークに記録されるわけではありませんが、直接体験した人々の記憶に残ります。

食料は、一方では基本的な毎日の必需品であり、他方では、世話を示す最も簡単で効果的な方法の1つです。これは、異なる国籍、地位や展望を持つ人々を結びつけるものであり、理解のための鍵のようなものです。アメリカの歴史家ティモシー・スナイダーは、「食糧問題」が影響力と支配の追加のツールになった場合、政治的側面を持つと強調しています。ロシアとウクライナの戦争の場合、食料は、ウクライナ人が団結したり、互いに助け合ったり、世界に自分たちのことを伝えたりすることができるのを示す素晴らしい証拠の1つです。

コンテンツ作成スタッフ

Ukraїner創設者:

ボフダン・ロフヴィネンコ

企画:

ダリーナ・チャバーノヴァ

編集長:

アンナ・ヤーブルチナ

編集:

カテリーナ・レフカ

写真編集:

ユーリー・ステファニャク

コンテンツマネージャー:

カテリーナ・ユゼフィク

翻訳:

タマーラ・コマルヌィーツカ

翻訳編集:

藤田勝利

Ukraїnerをフォローする